《再会の奇跡》
(刀剣乱舞/宗三左文字)
宗三が本丸に顕現した時、刀剣男士はまだ数える程しかいなかった。
しかし、その中には、もう二度と会えぬはずの刀剣が居たのだ。
「薬研通し...!?」
「おっ。宗三左文字か?俺っちのこと覚えてたんだな!」
かつて同じ主、織田信長の元に居た短刀・薬研藤四郎。
本能寺の変で焼失したはずの刀。
「どうして薬研がいるのですか....」
「まぁ、細かい事は分からないが、薬研藤四郎って刀が在った事とか逸話だとか写しとかで顕現出来たらしい」
ほら、と見せた本体はあの日の薬研藤四郎そのもの。
美しい刃文も変わっていない。
宗三は薬研が、《あの時共に居た薬研藤四郎》だと実感すると、不思議と安心した。
「貴方とまた会えて嬉しいですよ、薬研」
「奇跡ってとこだな。これからまた宜しく頼むぜ」
その笑顔も、あの人変わらぬ子供のような笑顔で。
もう二度と見れないと思っていた仲間と会えるならば、
現世では会えなくなった自分の兄弟達にも会えるのだろうか。
もし会えるなら、それも奇跡と呼びたい。
宗三はそう思いながら、ここでの生活を始めた。
10/2/2024, 11:07:44 AM