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欲望


四十にして惑わず五十にして天命を知る六十にして耳順う七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず


七十で少しゾッとするのだ。
心の欲する所に従っても人の道を超えない彼の欲望は本当に彼本来の欲望なんだろうか。

耳なし芳一のようにカフカの処刑機械のように何かが彼の身体に書き込まれていく。
それは年齢に従ってじわじわと広がり、彼の身体も魂さえもが覆い尽くされて社会的に適切な欲望しか出力しなくなった姿が七十で、それで人間的完成ということなのか。
社会的要請の徹底的な内面化。社会との合一。

これは孔子が自分の人生を語っている言葉だから、彼はそのように努力してきた生涯でそのようにあるのが彼の欲望だということなんだろうけど。

それに彼はむしろ彼の言葉で社会を覆い変化させた側だからな。書き込まれた言葉だって彼自身の言葉だ。

3/2/2024, 9:29:54 AM