夢を描け 幼稚園の頃、お絵かきの時間に自分の夢を描けと言われてふりふりのピンクのドレスを着た自分を描いた。絵のファイルの奥底にしまわれていたあの絵のことはもうすっかり忘れていたが、結婚式当日に母がそれを持ち出してきて自分に渡しながら言った。「ドレス、着たいなら着ても良かったのに。」「…子どもの頃の話。今はちゃんと分かってるから。」母はそうねとよく分からない返事をしながら絵を受け取った自分の真っ白のタキシードの肩についた糸をはらうように撫でた。
5/10/2025, 4:27:55 AM