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時計の針が重なった。
正午だ。

おい、昼飯行こうぜ

さっきから壁時計を凝視していた僕は、吉田の声に振り返る。

こないだ言ってたライブさ、チケット取れたんだ。すごくね?やっぱ日頃の行いの良さ?だよねえ。
でさあ、今朝なんか来る途中めっちゃ綺麗な子見かけてさあ、、、

吉田はお喋りだ。僕の返事の有無などお構いなしに、男にしては高い声で無邪気に語る。

12時20分

近所の定食屋で日替わりを食べながら、吉田の声をBGMに、俺の脳内を占めるのはさっきの時計。

秒針、短針、長針、
規則正しい動き 規則正しい音
それらが刻む時間 描く時間
蓄積 分断 連続 反復 変化

吸い込まれるように、いつまでも見てしまう。
吉田の声がなければ、ただただ時計を眺めて昼休憩を終えていたかもしれない。

物心ついた頃から、周りから、何を考えてるかわからないと言われてきた。
僕だってわからない。これじゃいけないのか?
実際、他の人は何を考えてるんだ?
吉田は例外だ。考えてることをだだ流ししてる。
吉田は勝手に喋って、僕を責めないから、一緒にいて楽だ。

2/7/2024, 5:29:52 AM