月が凪ぐ夜

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君と逢うときはいつも夜の時間だった。
君と過ごす夜はいくつもあったけれど、別れ際は別々で、後腐れのないあやふやな関係が丁度よかった。

だけど偶然街で見かけた昼の君は、太陽の下で笑っていて、似合いすぎたその光景に僕はただ立ち尽くすことしかできない。きらきらとした表情で眩しく笑う君を、僕は真っすぐに見ることができなかったんだ。

そのとき胸から溢れた感情をどう表せばいいのだろうか。かつて持っていた純粋な心が再び芽を出すかのように、ただ君だけを見つめていたい。僕の腕の中で眠る君を見ながら、そんな願いが頭をよぎる。

このまま君と朝を迎えたらどんな顔をするだろう。
想像するだけで怖くて不安になるけれど、いつかの君の姿が眼裏に映って僕の背中をゆるく押す。

次に目を開けた瞬間から君と僕の関係は変わる。
君の答えがどんなものかはわからないけれど、それでも一縷の望みをかけて僕はゆっくりと目を閉じた。


【太陽の下で】

11/25/2023, 2:07:56 PM