「おかあさん」
見上げてくる視線のなんとまっすぐなことか。
その瞳は綺麗で穢れを知らない。
伸ばされた手を掴むことに躊躇するほど、今の私は汚れてしまった。それでも母になった。
「どうしたの?どこかいたいの?」
丸い瞳が私の顔を覗き込む。
黙り込んだ私を心配してくれているこの子の心は美しい。
まだ何も知らない、透明なまま。
どうかそのまま育ってほしいという傲慢な願いを心に秘めながら、私は子どもの手を取った。
5/21『心は透明で』
髪が長くて、サラサラしていて
長身で痩せていて
でもほどよく肉はついていて
優しくてユニークで
皮肉も言うけど棘はなくて
私のことを一番に考えてくれるの
私の理想とは真逆のあなただけど
それでも愛することをやめられないの
5/20『理想のあなた』
はらはらと桜の舞う夜。
私は樹の下でたばこをふかしていた。
「残念だよ。君みたいな優秀な人を見送ることになるとはね」
隣に差したスコップに足をかけて力を入れた。
スコップは少し地面に沈んだ。
桜の樹の下に死体を埋めたあとのたばこは、苦くてうまい。
5/19『別れ』
5/22/2026, 6:38:36 AM