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 猫がそれを踏む
宝石のような眼をギラギラ光らせて、、

ガラスのように透き通ったその花は割れはしなかった。

「繊細な花だから、守ってあげないとね。」いつかの昼下がり母は私にそう言った。
ならば守らなければと、母がそう言ったのだからと守りつづけていた。

 その花は様々な色に変化した。透き通った赤、青、黄色、、でもよくどす黒い赤に変わった。
確か初めてその色を見たのは、母が死んだ日。

 多分この花は、私の感情を反映してるんだと思った。


――――


母が死んでホントはうれしかった。

僕は母が嫌いだった。
仮面の下を花が僕の代わりに教えてくれる、それにひどく安心した。

母が死んでも、花の世話は欠かさず続けた。


 天気のいい日、麦茶でも飲もうと冷蔵庫を開けて、

花から目を離していた時だった。
目を光らせた猫が植木鉢に突っ込んでいくのが見えた、きっと虫でもいたんだろう。

床に散らばる植木鉢の破片と無傷の花。
花を拾い上げる

ガラスのように透き通ったそれは、さらに透き通って




私[僕]をうつした。


6/25/2024, 2:28:44 PM