眠り子

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平穏な日常

舞踏会に来ている私はもしかしたら素敵な出会いがあるかもとチャンスを掴もうとしていた。
その一方で本当にこれでいいのかという想いもあった。
思い出すのは、いつもそばにいて励ましてくれて
私がお茶を淹れると美味しいと笑顔を見せてくれる
魔法使いのあの人の姿だった。
「やっぱり戻ろう」

煌びやかなお城や王子様はもちろん素敵だ。
だけど、私には魔法使いさんと共に過ごす
何気ない平穏な日常が大切だと気づいたのだ。

もしかしたら、驚かれてしまうかな。
物語の結末は、王子様と幸せに暮らしましたとは
限らないでしょう?

12時の鐘が遠くなる中、かけがえのない彼の元へ
駆けていった。

3/12/2024, 10:52:05 AM