「みんな恋、してるんだよねぇ」
私は机に頬杖をついてつぶやいた。
「みんなってわけじゃないんじゃない?でも興味の沸く時期だよね」
前の席に座っていた香菜がそう私に言った。
このクラスでも何組かカップルが誕生しているらしい。
「そういう香菜も、こないだ彼氏が出来たじゃん!」
私がそういうと、香菜はペロッと舌を出して言った。
「うん、お先にごめんね」
「彼氏とはどう?楽しいの?」
私が聞くと、香菜の目は輝き出す。
「そりゃあ!今が怖いほど幸せだよ!!」
「へーえ、良かったね」
私が無感動に相槌をうつと、香菜は、
「何よっ」
と肘で私の肘をこづいた。
「だってさぁ、私には無縁なんだもん」
私ははぁーとため息をついて机に伏せる。
「好きな人のつくり方、教えてほしいなぁ」
私の言葉に香菜は半ばあきれ顔だ。
「そんなの直感だよ、雰囲気とか、顔とか、仕草とか言葉でこの人好きってなるよ。きっとさ、まだ出会ってないだけだよ」
私はその理論に妙に納得する。
「そうかぁ、出会ってないだけなんだね。それじゃあ、これからの出会いを楽しみに待ってればいいのか!」
そう考えるとなんとなく元気も沸いてきた。
「ま、それがいつかは保証できないけど」
ボソッと香菜の言葉が聞こえてきたけど、もう私には関係ない。
私は未来に出会う私の彼氏について夢想しだしたのだった。
2/10/2024, 12:16:48 PM