なぎさ

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「いってきまーす!!」
サリーは駆け足で玄関を飛び出した。今日は初めて一人でお買い物に行くのだ。

「サリー、おはよう。今日は一人なのかい?」
杖をついた老人が声をかけてきた。
「そうだよ!お母さんがいなくても大丈夫だもん!だってサリーもう5歳だから!」
サリーは手をいっぱいに開いて見せた後、笑顔で彼の横をすり抜けた。

街はとても明るかった。
レンガ造りのお店、におい立つパン屋の香り、そして色とりどりの花が咲く花屋。サリーはもうワクワクしてしょうがなくて、どのお店に行くか迷っていた。

甘い香りに誘われ、選んだのはお菓子屋さん。
この甘い香りはシナモンかな?美味しそうなお菓子がいくつも並んでいた。サリーはシナモンロールとクッキーをひとつずつ選んだ。

次に立ち寄ったのは本屋さん。どこを見ても本だらけで、全部読んでしまいたくなる。サリーはお菓子作りの本を一冊選び、大事に抱えて店を出た。

最後に立ち寄ったのはおもちゃ屋さん。
なぜなら、窓越しに見えたあのくまの人形に一目惚れしたからだ。すぐにそれを手に取り会計しようとすると、小遣いがもうないことに気付いた。
涙目を浮かべるサリーを見て、ある女性が声をかけた。
「ごめんね、その人形解れている所があったでしょう?
良かったらもらってくれる?」
サリーはもちろんOKして、笑顔で店を出た。

夕焼け空の中、サリーは家に向かって歩く。手には買ったおもちゃやお菓子、そして新しい本。帰ったらお母さんに自慢しよ。

2/28/2024, 11:28:46 AM