未知亜

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 信号待ちをしている時なんかにふと気づく。ああ、今日の夢には色がなかった。だから君の夢を見たのだと。

 会えなくなって写真もなくて、夢で会っても顔がぼやけたり、声が腕が違っていたり。近頃君は違う姿かたちをしている。
 飛んでくるビニル袋。音を立てて転がる枯葉。蹴飛ばした石ころ。風で揺れる木洩れ日に呼ばれた気がして立ち止まる。

 思い出したと思えるのは、しばらく忘れていられたからだ。
 なんでもいいよ。気休めでもいい。どこか遠くで笑っていると感じることさえ出来たなら。私の世界はもう、冷たいままでいいから。

『モノクロ』

9/29/2025, 12:13:35 PM