「この世は不条理なり!!
それでもおのれの信じた道を突き進むだけよ!!」
そう言って彼は豪快に笑った。
それが彼の最期の言葉だった。
それは彼の粛正が決まったその時の。
見事な散り際の一言であった。
周りから見たら彼が道理から外れたように見えたろう。
身勝手に振る舞い傍若無人のように見えたろう。
でも私だけが知っている。
彼が本当は優しいひとなのだと。
この世を正しくしようと奮闘してたこと。
幼い頃から側で共に戦って来たからこそ分かるのだ。
どんなに周りから恐れられようと蔑まれようと彼には譲れない信念があった。
それは時には非道な行為でもあっただろう。
ただ単に好き勝手に振る舞ってるように見えただろう。
だけどそれもこれも全部意味あってのことだったのだ。
誰かがやらねばいけぬ事だったのだ。
それを彼は嫌な顔もせず笑ってそれをやり遂げたのだ。
たとえその結果、粛正されることになってしまったとしても。
彼の真意なんて誰にも伝わらぬまま笑って先に逝ってしまった。
「ほんにこの世は不条理なり」
彼の真似をして誰も居ぬ暗闇にそっと呟く。
「…不条理なり」
(不条理)
3/19/2026, 3:58:52 AM