内緒のリリィ

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もう、息が白く染まるほどの寒さ。

「おまたせ」

うしろから大好きな声

「もう!遅いよ!」

怒ったように頬を膨らましてみる。

「ごめんごめん」

と笑って謝る君。

長時間君を待っていて冷えきった手のひらを息で暖める。

「寒いの?」

「少しね」

そういうと、

「ん」

だまって手袋をろを差しだしてきた。しかも片ほうだけ。

不思議に思いつつ、つけてみる。

「あー違う違う。逆」

「逆?」

言れるがまま逆の手につけかえる。

「これなら暖かいでしょ」

そう言って空いた手をつなぐ。

確かに。手袋より暖かい。

あぁ、やっぱり好きだ。

【No.37 手袋】

12/27/2024, 3:09:40 PM