ヤツノ

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午前2:30
路地裏には、だれも入らない
スポーツバックの飛び掛かる虎は
街灯りの境界線に
消えていく
大きな影も隠れる暗やみ
懐中電灯以外に、見えるものはないだろう
あっ、
どこまでも続くかに思えた路地の
終わりの壁が迎に迎えられた
これ、
無造作に放られたバック
手元の光がエナメルに写る
半分だけ開いたジッパー
なにかを思うでもなく
覗き込んだ
「…君には何が
     見えた?」
冷や汗と共に一つの気付きを得た
バックを持って入ったあの人は
どこ?


8/14/2025, 2:23:55 PM