私が彼女へのこの気持ちを"誰にも言えず『どこにも書けないこと』"とする魔術を自らに施したのは、国の魔導師の長として、国のすべての民の前で公平な立場で在らねばならないからで。
とにかく、本人の前であろうとなかろうと、気持ちを口に出しさえしなければ、乗り越えられる──そう思ったからこそ、この気持ちに自覚したその日に魔法陣を描き始めて三日をかけて完成させ、全精力を削ってそこにマナを注ぎ込み、魔術を成功させたのだ。
「……いやぁ、うん。ここんとこ一体、なにやってんだろーなーとは、思ってましたけど。でも閣下の側近としてこの際、はっきり言わせていただきます。閣下のお気持ちは、口にせずとも記さずとも、バレバレです」
「……は? なんで?」
「魔塔にも城内にも、閣下の第4王女殿下へのお気持ちを知らない人なんて、一人もいませんから。ってか自覚すんの、遅すぎじゃないですか?」
「えっ? っ、いや、だから……なんで?!」
「なんで、って……閣下は、その自覚もないんですよねぇ……ああ、そろそろ第4王女殿下とお約束した時間じゃないですか?」
「あっ、ああ、そうだな。なぁしかし、バレバレは言い過ぎじゃないか? そこは訂正を……って、鏡?」
「その、ゆるんだ顔! それに王女殿下への態度が、他の人と比べて全然違うのと! その、いまも無自覚に垂れ流してる浮かれマナがまるで、背景に花飛ばしてるみたいなんですってばー!」
2/8/2026, 7:58:50 AM