見つめている。
夕日にも似た赤銅色の髪に、月を思わせる金の瞳。
綺麗だと見惚れてしまう。
本を読んでいる体で彼女の横顔を盗み見る。
口が達者なら褒められたのだろうが、
口下手な俺にはできない。
むしろ誤解されるか、誰かを傷つける。
意図とは別の解釈で伝わってしまう。
それが、怖くなった。
言葉は見えざる凶器、誰かを傷つけるならばと
何も言えなくなった。
「あたしの顔、盗み見るのはよくないよ」
金の瞳が俺を射抜く。
何も言わずに視線を逸らせば彼女は笑った。
「たまには褒めてくれても良いのに」
「……できたら苦労はしねぇよ」
悪態をついて机に突っ伏せば撫でられた。
子供扱いは嫌で、手を振り払えば彼女は笑った。
ああ、ほんとに何しても頭が上がらない。
これが惚れた弱みか。
5/13/2025, 5:45:36 AM