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ただじっと見ている。
少しずつ動いていく、長い棒と短い棒と細い棒を。
あれはぐるぐる回る。
じっと見ているのは他に見て良さそうなものがないから。
この部屋には他に動くものがないから。

あれがぐるぐる動いて、今と違うところに行けば、多分このドアは開く。
そしてあの人も帰ってくる。

しばらく見ていたけど、細いのは動くけど、長いのと短いのはあんまり動かない。
少し大きい声で動くように言ってみたけど、声は出なくて、空気を噛んだ。
ここは、体を思い切りたてにすることもできない。
小さい頃は、そんなことはなかった気がする。
小さい頃は、あの人以外にも誰かがいた気がする。
もっと小さい頃は…。

やることがないので、手を舐めている。どんどん舐めていると少しは何かが動きそうな気がする。
まわりのものをつついたり、かんでみたりする。
長いのと短いのは少し動いたかなと眺めてみるけど
何が何だかわからなくなってしまった。
目を閉じてあけて、目を閉じて開けて。
何にもすることがない。
お腹も空いたし、喉も乾いた。



「あーもう、何これ…何でペットシーツボロボロにするのよ…」
「散歩もしなくていいし、大きくならないって言われて飼ったけど、どんどん大きくなるし…。はー失敗した」

2/6/2023, 11:59:59 PM