月が凪ぐ夜

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こんなにもあなたを好きになるとは思わなかった。
ほんの一瞬の邂逅…ひと言たりとも話さなかった。

私はただ遠くからあなたを見ていただけ。
爽やかに笑うあなたが眩しくて、廊下を走るあなたを目で追いかけた。友だちと巫山戯あうあなたが微笑ましくて、ただその姿を見るのが楽しかった。

それがいわゆる「初恋」だと理解したのは、あなたと会わなくなって2度目の秋の訪れの時期だった。

私はただあなたを好きになっただけ。
私の初めての恋が、花を咲かさず、実もにならず、人知れず散っていって終わるだけのものだったのに…。

今でもまだ募るこの想いをどうすればいいの?
手を離すにはあなたの存在は大きすぎて、
腕に抱えるにはあなたへの想いが重すぎる。
いつか私は、私のその想いに身を潰してしまいそう。

始まりもなく終わった恋を、

後悔も未練もないその恋を、

終わらせる術があるのなら、
   ―――…どうか、私に教えてください。


【どうすればいいの?】

11/21/2023, 11:35:50 AM