涙を隠した丼ぶり
お世話なる方に作ってもらった蕎麦
涙を見せるわけには…
丼に顔近づけて食べた太麺の蕎麦
湯気に紛れて溢した愁いに
煮干しのきいた出汁のごと飲みほした悲しみ
塗箸に付け過ぎた七味の残香と世間の辛さ
この食卓だけは俺の涙を隠しきれなかった
何も言わずに聞かずに注がれる芋焼酎
何処を彷徨うか宛の無い未来が始まる…
明日は何処に明後日は…
…
ええ加減なヤツじゃけん…
ほっといてくれんさい…
あんたと一緒に泣きとうは有りません
何処へ行くんね…?
何かええ事あったけん?
住む気なったら手紙でも出しんさいや…
理屈で愛など手にできるもんならば…
この身をかけても全てを捨てても…
幸せになってやる…
…
懐かしい人や町を訪ねて
汽車を降りてみても
目に写るものは時の流れだけ
心が砕けていく
帰っていく場所も無いのなら
行きずりの触れ合いで慰め合うのもいいさ
シンシア…
そんな時…
シンシア…
君の声が…
戻ってお出でよと歌ってる…
…世は無情ですなぁ…
7/26/2025, 10:57:47 AM