「あ、ねぇねぇ。彼女さんが呼んでたよ」
「ありがと」
クラスメイトが廊下の方を見て俺に言う。
「どうしたの。俺のクラス来るの珍しいじゃん」
「うん。ちょっと、相談したいことがあって、ね……」
彼女が人目を気にするように周囲を見回したため、俺は彼女の手を取る。
「場所、移動しようか。三限目は二人でサボろう」
空き教室に移動すると、彼女は不安そうに口を開いた。
「あのさ、別れよう?」
頭の中が真っ白になった。
「なんで? 俺、なんかした?」
「……」
黙る彼女の表情を見て、俺は察した。
「また誰かになにか言われたの」
彼女はあからさまに動揺を見せる。
「いい。俺は何も気にしてない。お前だから好きなんだ。だから、お前はそれでいい。いつものお前でいてくれるだけで、俺は幸せだ」
【それでいい】
4/4/2024, 1:10:20 PM