「冬休み」と言うのは沢山の思い出ができる。
クリスマスに正月など、一年のうちの行事と被っているからだ。
窓の外から風景を眺める。
雪が降っていた。
「あとは、ここが会社の中じゃなくて、寒くなかったら完璧だな…」
「先輩、何言ってんすか。口じゃなくて手を動かしてください、手を」
溜め息混じりに吐いた言葉に後輩が反応する。
そもそも、一応今は「冬休み」の期間中だ。なのに、なぜ俺たちは仕事なんてしているのだろうか。
エアコンも壊れていて、今はストーブしかない。そのストーブは諸事情で使えない。
(…なんて地獄だ)
そんな劣悪的な環境に留まっているのは俺と後輩のみ。普段は優しい良い奴なんだが、今は気が立っているようで、少し冷たい。
「こんなんになったのもあのクソ上司のおかげっすね」
「あー。全くだ…」
「はーぁ。もう辞めてやる」
もう何度言ったかわからない愚痴を溢しながら、仕事を進める。
「これが終わったら飲みに行こうぜ」
「お、いいっすね。行きましょ。勿論先輩が奢ってくれるんすよね」
「…図太くなったな」
「『冬休み』くらい甘えても良いじゃないっすか。かわいい後輩っすよ」
12/29/2023, 7:53:44 AM