若干官能注意。凍結だけは勘弁してください。
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「映らぬ彼女」
目と鼻の先の距離のオマエは赤子のように頬を紅潮させ、目尻から宝石のような涙を流し、赤く熟れた唇の隙間からは消化液が砂糖水に感じるほどの甘く煮詰めた透明な液体が唇と顎の輪郭をなぞりながら首下に流れてゆく。空いた口からは止まることなく発情した猫のようににゃんにゃんと甲高い鳴き声が僕の脳を刺激する。
婀娜なオマエを見れば見るほどに消耗しない僕の中の劣情が熱を増す。
それに気づくオマエは僕を見つめる。そんなオマエの瞳には僕が映るけど、僕の瞳にはちゃんとオマエが映っているのだろうか。
「そっかぁ、じゃあそろそろお開きだね」
「会計は僕が持つから安心しろ」
「いつもありがとぅ~。すきだよぉ。」
「僕もだよ」
ピーロートークも程々に、愛情あふれる彼女の瞳を逃しはしない。こうして僕のことを心から愛してくれて、信頼してくれる目が堪らなく好きだ。
宵の内に解散するように提案したのは彼女。理由なんてどうでも良くて、浮気していても、僕のことをどうしようもなく信頼と愛情の眼差しをむけてくれるから満足だ。
さぁ、僕も、家族の待つ家に帰ろう。
彼女のいる部屋の扉を閉めたら鞄から銀色のリングを薬指に嵌め込みその場を後にする。
「おかえりなさい。今日もお疲れ様」
「ただいまぁ、疲れたよ。」
笑顔で迎えてくれるオマエが居る。
「ご飯とお風呂、どっちも準備できてるよ」
「ありがとう」
また彼女は頬をりんごのように染め上げる
「最後は私も頂いてね」
愛の籠った眼差しと期待と欲情した目に射止められる。
「いいデザートだ」
腰に手を回していやらしく撫でれば喜ぶように体が反応した。
彼女達の信頼と愛の籠った純粋な眼に背中がゾクゾクする。こんなにも愛してやまない想い人は嘘を重ねて、そいつ自身には微塵も愛なんてないのに。
それでも知らないところで裏切っているという概念が、真実を知った瞬間に輝く瞳が一気に真っ黒に染まる。そうなるかもしれないというスリルが堪らなく愛おしい。
僕はスリルというモノに恋をして愛してる。
お題
スリル
駄文で申し訳ないです。
11/12/2024, 7:44:05 PM