深夜徘徊猫

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「七色」

「みんなで画用紙に虹がかかったお空を描きましょう!」

 僕はすぐにクレヨンを手に取った。僕はお絵描きが大好き。画用紙いっぱいにお空と虹を描く。僕が想像する限りの大きい虹。あっという間に僕の画用紙はカラフルになった。描き終えて先生に僕の自信作を見せに行く。

「せんせい!みて!じょうずにかけたよ!」

「どれどれ。…翔くん、虹がおかしいよ?」

「え?おかしくないよ?」

「虹に黒や茶色はありません。しかもこれ十色じゃない。虹は七色。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫だよ。」

「…でも!いろがいっぱいのほうがたのしいよ?」

「虹に黒や茶色は出来ないものです。しかも、絵が汚くなるじゃない。もう一枚画用紙あげるから、もう一回描いてきなさい。」

「…はい。」

 その後言われた通りの色で虹を描いた。正直納得がいかなかった。みんなおんなじ色でつまらなく感じた。

 子供たちの個性はカラフルというけど、僕たちは虹のたった七色にも成れず、一色だけに染め上げられてく。
ただの白色に僕たちはなっていく。

………
白って何にでも染まる色ですよね。

3/26/2025, 3:26:45 PM