"永遠の花束"
貴女が初めてくれた記念日のカードは、花びらを漉き込んだ紙で作られていた。
貴女の字は特徴的で、僕の面白みのない字とは大違い。文字の柔らかさが心地良くて、ずっと見ていられる。嬉しさのあまり額装して飾ろうとしたら、やめろと止められたっけ。
貴女が嫌がるから飾るのは諦めて渋々仕舞い込んだけど、折に触れて取り出し眺めていた。僕があんまりにも喜ぶから、貴女は記念日以外のなんでもない日にもカードを贈ってくれるようになって、いつしか保管に使っていた大きなお菓子缶が全部埋まってしまった。
缶いっぱいのカードには、四季折々の花と貴女の文字が閉じ込められている。経年で色褪せてしまっても、ずっと変わることのない宝物だ。
2/4/2025, 2:33:47 PM