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とっておきの場所があると君は言って、君は山の険しい方へと、どんどん進んでいく。

僕が、何度止めても、止まらない君を、そのまま放っておくのも気が引けた僕は、君についていくことにした。

君の後に続いてから、少し経った頃、急に視界が開けた。

目の前に広がったのは、街だった。
上から見下ろす街は綺麗に色鮮やかで、人々の生活が垣間見える。

君は、これに見惚れている僕に向かって、『君にこれを見せたかった』とムカつくほどの笑顔で言った。

僕は、それに返事はせず、街にまた視線を戻した。
そうすると、ズルっと何かが滑り落ちるような音がした。

音の方へ向くと、そこには崖から滑り落ちる君がいた。

すぐに手を君に伸ばしたが、遅かった。

君が小さく遠くなっていく。

手が届かなかった時の、君の絶望顔が頭から離れない。
背筋が凍る。冷や汗が止まらなくて、とても怖い。

ここまで、すごく登ってきたから、落ちたら死んでしまうだろう。

僕はただ、落ちていく君を見ていることしか出来なかった。
君が、落ちた瞬間、君の体から血が広がっていくのが見えた。
幸い、下からここまで遠かったので、落ちる時の生々しい音は聞こえないで済んだ。

それを見た僕は急いで、山を下った。
転んでも、すぐに立ち上がり走った。
下から、救急車の音が聞こえた。
誰かが通報したのだろう。

もしかしたら、死んでないかもしれない。一命を取り留めるかもしれない。

そんな希望を抱いて、山を下った。
しかし、その希望は、直ぐに打ち砕かれる事となる。

両親から、君が病院で息を引き取ったことを知った。

何故、あの時、自分は止めなかったのかと、罪悪感で胸がいっぱいになる。 だけど、涙は出なかった。まるで心にポッカリ穴があいたみたいだった。

──────────

雨の日の事、君の葬式が開かれた。
君の葬式が終わった。なんだか、君が死んだことが今でも信じられない。

葬式が終わってから、僕は君が最後に笑った場所に向かった。

君と見ない街は、酷くぼやけていた。
僕は、急に君がいない事を寂しく思って、君に会いたくなって、崖から飛び降りた。




お題【 街 】



なんか、話がお題からずれていってる気がする(´・ω・`)

長々と書いてしまい失礼致しました。






6/11/2023, 1:32:44 PM