「サクラチル、とは、何だか不吉じゃのう。」
お爺ちゃんは、花びらが舞い散る中、桜の木を見上げて言った。
ボクは、生粋のお爺ちゃん子、だった。
お爺ちゃんは、とにかく格好よくて、ボクは大好きだった。
言うことなすこと、今の時代とはかけ離れていて、ボクが全く知らないことをたくさんたくさん教えてくれた。
そんなお爺ちゃんのことを、ボク以外の家族はみな鬱陶しがっていた。
ボクは内心、
″なんで分かんないかなー、この渋さ″
と、ずっと思っていた。
お爺ちゃんは、大抵自分の部屋で難しい本を読んで過ごしていた。
本棚にずらっと並んだ本は、背表紙をみただけでもボクには理解できなかった。試しに手に取ってみたこともあるが、案の定、最初からちんぷんかんぷんだった。そんなボクを見て、お爺ちゃんはその難しい本の内容を分かりやすく教えてくれた。
本当に、お爺ちゃんはすごい!と思った。
🌸 🌸 🌸
桜散る中を歩くことがあると、ボクはいつもお爺ちゃんを思い出す。お爺ちゃんに憧れて、同じ大学教授になったけれど、まだまだまだお爺ちゃんには叶わない。
″いつかボクもお爺ちゃんみたいに、渋ーくなれるかな?″
舞い散る桜の下、ボクは誰にも聞こえないように、呟いた。
4/18/2026, 8:04:29 AM