【紅の記憶】
夕焼けがやけに濃かった日、ふたりは河川敷で缶ジュースを片手に訳もなく大笑いしていた。
部活帰りでも仕事終わりでもなく、ただ「久しぶりに顔出せや。」と誘われて来ただけである。
それなのに、一瞬で昔と同じノリが戻ってきて2人の笑い声は夕空に吸い込まれていった。
赤く染まる空を背景にどうでもいい話で盛り上がって、どちらが先にボールを川に落としたかでまた言い合いが始まる。
肩をぶつけ合って騒いでいるうちに気づけば西の空は真っ赤に燃え、2人の影もやけに長く伸びていた。
「なんかこの色、昔みたいやな。」なんて言ったのが照れ臭かったのか、相手はわざと大げさに笑い飛ばした。
その笑い声に釣られて、自分もつい笑ってしまう。胸の奥がじんわり温かい。
あの頃と変わらない空気が、まだここにある。
陽が沈みかけても帰る気になれず、ふたりは相変わらずワイワイと騒ぎ続けた。
紅に染まる夕焼けはまるで忘れかけていた友情をそっと照らしているようだった。
また近いうちに集まろう――そんな気持ちが自然に湧き上がってきた。
11/22/2025, 1:59:57 PM