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巡り会えたら

 衝動買いとはもはや病気だ。値段も見ずに、あるいは見たとしても欲しくなるのは、本当に良くない。この間だって三万もした深緑色のスカートを買ったでしょ、と自分に言い聞かせるも、手に取ってしまった以上このブラウスを手放すことはできない。これがクローゼットに行儀よく収まっているところを想像すると、もう買う以外の選択肢はなかった。
 本二冊、漫画二冊、スマートフォンのケースだけを買う予定だった。それがいつの間にか、マグカップ、チョコレート、パスケース、バッグ、ヒール、ブラウス……と、だんだん増えていった。おかげで袋だらけだ。こんなはずじゃなかったのに。
 けれどどれも、わたしが運命を感じたものだった。ひつじの柄のマグカップは可愛く見えて仕方なかったし、チョコレートはわたしが好きな銘柄の新作だ。パスケースはもうボロボロになっていたから替え時で、バッグもヒールもブラウスもみんな気に入ったのだから仕方ない。
 こんなに買ってどうするの、と幾度も繰り返してきた問いが頭に浮かぶ。それを、巡り合いだから仕方ないわ、といつものように打ち消す。「巡り会い」だけが唯一、衝動買いにおける免罪符なのだ。

10/4/2022, 8:00:17 AM