「ねえ、明日、もし晴れたらアイス奢ってあげる!だから、もし雨が降ったら私にアイスを奢ってよ~!」
突然、彼女が笑いながら謎の提案を持ち掛けてくる。
「お前、明日雨が降るってわかってて言ってるだろ」
「え、何のこと?」
彼女は、俺には目を合わせず、そんなの知らないわ、とでも言いたげな表情をしている。あくまでも白を切るつもりらしい。
「・・・・・・まあ、いいけど」
俺がこの賭けに勝つ確率は、さっきみた天気予報によると、おそらく0%だ。それでも、彼女の笑顔に逆らうことはできなかった。
「約束だからね!」と彼女は嬉しそうに笑った。
翌日、しとしとと降りしきる雨の中、俺たちは彼女のお気に入りのアイス屋へ向かった。
道すがら、「雨の日は、トッピングが無料なの」と彼女が説明してくれた。だから、雨の日にわざわざアイスを食べたかったのか。とようやく合点がいった。
「おいしい!ありがとうね。」
満面の笑みを浮かべながら、トッピングを載せたアイスを食べる彼女を見て、案外悪くない取引だったかもなと思った。
8/1/2024, 5:23:43 PM