「おじさんはみんなが楽しければ満足だよ」
そう笑う貴方はこれまで、皆の見えないところでどれだけの苦労と損と悲しみを経験してきたのだろう。
彼が年老いたなら、彼の目尻にはきっと多くの笑い皺が刻まれていることだろう。
だが、その裏側を知るのはきっと最後まで僕だけで、きっとそれに気付いたなら彼は僕にすらそれを悟らせぬよう上手く隠してしまうのだろう。
だから僕は今日も気付かないふりをする。
「それが誰かのためになるならば」…それを行動理念としている彼に倣って。
黙っていることが誰かのためになるならば。
……いや、それは建前だ。
本当は、僕が貴方の素顔を知るただ1人でありたいだけ。
7/26/2024, 3:55:32 PM