通りすがりの通り雨
通り言葉の通り道を行き
通り名無き遠回りの
遠吠えに遠ざからず
遠眼鏡を覗く遠目
通り雨の通りを尊ぶ
トートロジー
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通り雨
思考の海に言葉の雨が降り注ぐ。
それを半目で見つめる山高帽の男と、キョトンとした顔で文字を追う白い詰め襟の女が居た。
「…何だ?この言葉の羅列は…」
「言葉遊びというより音遊び、かしら?」
「本体にはそろそろ『思考の海には上等な言葉のみを届けます』とでも書いた誓約書を書かせるべきか…」
額に手を添えながら、難しい顔をして山高帽の男が呟く。
男の隣に立つ白い詰め襟の女は、静かに首を横に振った。
「…イメージでは駄目よ」
現実は何事も書面でもって効力をなすのだから。
山高帽の男は、「…リアリストのシビアめ」と苦虫を噛み潰したような顔をしたかと思うと、深いため息をつき肩を落とした。
9/27/2024, 1:17:42 PM