【もう一つの物語】
自分が生まれてこなかったら、あなたを哀しませることはなかったのかな。私が選んだのはあなたの愛ではなかった。だって私はあなたをひとりの男性ではなく、父親のような存在と認識していたのだから。だから私は彼を選んだ。それにたとえ蛇に唆されなくたって私はきっと彼を愛し、彼に愛されることを選んだだろう。そうでしょう?だって、私は彼の体の一部から創られたのだから。彼の喜びが私の喜び。彼の幸せが私の幸せになるのだから。私たちは楽園を追放されたけど、決して愛を知ったことを罪だったとは思えない。あなたのもとを去ることに後悔はない。…嘘。本当はあなたに私たちを認めて欲しかった。だって、あなたが一番私たちを愛してくれていたのだから。だけど、ごめんなさい。私たちはあなたの愛情を裏切り、自分たちの幸福を築いていきます。
10/29/2024, 11:16:34 AM