彼の瞳は、極端に色素が薄かった。
近くでじっと見ればようやく分かる程度の色。
一見白目にも見えてしまうそれは、やはりと言うべきだろうか、初対面の人からは怖がられることが多いようだ。
慣れてしまえば何てことはないのだが。
それに唯一不満があるとすれば、彼の瞳を見たい時だろうか。
君の目を見つめると、その薄い色に淡く濁った自分の瞳が映ってしまう。
その度にまるで高貴な宝石を穢してしまったような感覚に陥るのだ。
その乳白色に映る快晴や古書の色彩は大好きだ。その景色も含めて彼なのだから。
こうも自分の色が映ることを嫌うのは、どこか彼という存在を神聖視している証なのかもしれない。
【君の目を見つめると】
4/6/2023, 11:44:30 AM