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時計の秒針をポキリと折る。
ずっと働いてきた古時計は秒刻みで時刻を示すすべを失い、分針がコチと動くのを待つしかなくなった。
そんなことは気に留めず、秒針に糸を通す。
あの子の胸に刺し、傷の谷を挟んだ対岸から針先を出す。再び元の岸に戻り、刺す。対岸から出す。繰り返す。
糸をきゅっと引っ張れば、谷は閉じていく。
谷口が完全に閉じたところで、玉結びにして切る。
施術の線路ができたあの子の胸に耳を当て、音を聞いた。
時を刻む音がする。規則正しく、どくんどくんと脈打つ。
ああ、よかった。
秒針から残った糸を引き抜く。

古時計を見ると、時針と分針が自分の動くタイミングを計っていた。
何秒かは、わからない。

2/6/2024, 10:30:25 AM