ほむら

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何も上手くいかず、やり場のないイライラを抱えていた私はただ放っておいて欲しい気持ちだった。しかし、その気持ちも冷めていない時に彼は励まそうと色々してきた。

「そんな時もありますよ。次こそは…」
「そんな時しかないの!なんでも出来るあなたにはわからないでしょうけどね!」

彼が励ましの言葉をかけてくれても、上辺だけのものに思えた私は、途中で彼にきつく当たってしまった。すると彼はそうですか、と言いながら悲しそうな顔をして、私の部屋から出ていった。一人になって冷静になってから、私は最低なことをしてしまったことに気がついた。

慌てて彼に謝ろうとして後を追いかけたが、家のどこにもいなかった。本当に嫌われたのかもしれない、と絶望していた時に、闇の中に差し込む一筋の光のような希望が見えた。

「あの公園なら…!」

もしかしたら、私たちが初めて出会った公園にいるかもしれない、とひらめいたのだ。自分が読んでいた小説の影響なのか、思い出の場所は何かのヒントがあるものだと私は思い込んでいた。いてくれればいいな、と思いながら玄関を飛び出して公園へ向かった。公園に入ってすぐに、ベンチに彼が一人で俯きながら座っているのを見つけた。

急いで近くまで駆け寄ると、彼は泣いていたことがわかった。さらに近くまでゆっくりと歩み寄ると、こちらに気づいた彼が顔を上げた。

「ごめんね」

彼を見つけられたことに安堵し、頬を涙が伝う中で私が絞り出すようにして出したのは、謝罪の言葉だった。許されなくてもいい、ただ自分の思いを伝えられたらそれでいいと思っていた。

「よかった…俺、嫌われてなかったんですね」
「嫌いになるわけないよ!だから、そんな顔しないで?」
「貴方だって、顔が涙でぐしゃぐしゃですよ?」

お互いに泣いてた事に気づいた私たちは、ギュッと抱きしめ合い、温もりを感じながら微笑んだ。

「俺の方こそ、貴方の気持ちが分かってあげられなくてすみませんでした」

そうして、お互いに仲直りした私たちは二人で家に帰った。

テーマ「ごめんね」

5/29/2024, 11:15:51 AM