香草

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「きらめく街並み」

星々が輝いているのか、ただの光なのか。
それとも涙なのか。
涙だとして悲しいのだろうか、ただ眩しいのだろうか、美しさに心が打たれたのだろうか、それとも。
「泣いてるの?」
戸惑いと照れが入り混じったような声が頬を撫でる。
その声できらめいているのが自分の涙なのだと知る。
「うん。感動して」
感動というやたら便利な言葉で誤魔化した。
けれど涙が出ている理由なんて自分でもわからない。
こんな光景いくらでも見てきた。
酒臭い息とか耳の裏の酸っぱい匂いとセットで。その時は金が輝いているとしか見えなかった。
こんな感傷的になるなんてありえなかった。
高校生みたいなうぶな反応をしてしまうなんて少し恥ずかしい。
きっと隣からほんのり香ってくるムスクのせいだ。
そういうことにしよう。

12/6/2025, 9:55:38 AM