時に、強者同士の戦いは刹那的なものだと聞く。
事実、その戦いは俺が魅せられるよりもずっと早く幕を閉じた。
気がつけば、ついさっき自分が手も足も出ず地に伏せた相手が、自分と同じように倒れていた。
「この実力で相方に名乗りを挙げんのは、ちょっと無理があるやろー?」
一方元凶である先輩は相も変わらず煽り続けているが、服に残った無数の掠り後が戦闘の激しさをものがたっている。
俺はくそっ、と起き上がり際に吐き捨て立ち去った野郎には見向きもせず、ぼーっと先輩を見つめていた。
表情には出ていないだろうが、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
きっぱりと押し退ける事が出来なかったこと。安いちょうはつに乗ってしまったこと。そして、皆に迷惑を掛けてしまったこと。
目の前にいるのに、相方に合わせる顔がないな、なんて考えてしまう。
「今回お前が悪かったとこ、分かるか?」
「そ、それは......」
急な問いかけに、言葉が詰まる。そんなことは数えれば幾らだって「お前がこの子の相方じゃなかったからだ」
「相方...じゃなかっ...た......?」
思考を遮るように発せられた言葉に混乱をきたす。
相方じゃない、俺には名乗る資格がないということだろうか?当然だ...こんな実力の俺じゃ......
ボロボロに負けた後であるせいか、考えても考えても良い方向には向かわない。
「そうだ、この後暇なら付き合ってくれよ」
この時の俺には言われるがまま先輩についていく他なかった。
「刹那」
4/29/2023, 9:59:49 AM