月凪あゆむ

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無色の世界

 「無色の世界」とは、どんなものだろうか。
 なーんて、ちょっと小難しく考えてたらダメよ。

 無色。色のない世界。何もない世界。
 すなわち、眼が機能していない、視界。


 なんて、きっと私たち「有色の世界側」、つまりは目が見える側には、分からないもの。きっとね。
 だって、そうでしょう。
 無は有に成れず。有は無に慣れず、よ。

 だからこそ。
 無は無を制せる。
 つまり、無を受け入れることで、無である自分を、解るの。
 そして、有も又、無を解れば、共に在れるの。

 一応、それなりに簡単に言うとね。
 

 目が見えないひとは、ほぼ目が見えるようにはなれない。
 目が見えてたひとは、いきなり目が見えなくなることを、すぐには受け入れられないことが多い。
 
 でも。

 目が見えないことを、良しとすることで、自分のことが理解出来る。
 自分の身体を、初めて本当に理解することで、見えない自分を、そのままで有ろうと思える。
 そして。
 目が見えるひとでも、理解し、尚且つ望めば、見えない目に寄り添うことも、きっと出来る。



 ……まあ、この話はね。あなたがもっと大きくなったら、お父さんに聞いてみるといいわ。
 ふふ、仏頂面で、今とおんなじように答えてくれるはずよ。
 なんてったって、私たち二人の考案のものだから、ね。  

4/18/2023, 11:12:25 AM