放課後
放課後のグラウンドや体育館からは部活に励む生徒達の声が響く。どこの部にも所属してない私はさっさと帰る。…なんて事はせず、グラウンドの隅に腰掛ける。お目当てはタツヤ先輩。カッコいい~。あからさまに見つめてはバレるのでカモフラージュで視線を逸らしつつ…やっぱりガン見。
「見すぎじゃね?」
不意に頭上から声がする。仰ぎ見るとクラスメイトのアカイシ君。
「いや、何が。サッカー見てるだけだけど?」
「バレバレ~。タツヤ先輩、彼女できたけど」
「えっ!?」
取れ立てホヤホヤの新情報~♪なんてピースするアカイシ君にタオルを投げ付ける。普通にキャッチされて、そのまましれっと使われる。
「あっ、フワフワタオルなのにっ」
「確かに。優しいわ~」
「もういいっ。洗って返してよね」
「なぁなぁ」
今日はもう帰ろうと立ち上がると呼び止められる。
「明日も来る?」
「…来ない」
「えーだって毎日見に来てたじゃん。習慣変えるのよくないよー」
だって、来たって、タツヤ先輩には彼女。そういや、反対側のベンチには見掛けない、可愛らしい先輩がいる。あれ見せられるのツラ~。
「じゃぁさ、俺のこと見に来てよ」
バサリと自分のではないタオルが頭から被せられる。私のフワフワタオルには敵わないけど、これはこれで柔らかい手触り、良き。…いや、そうじゃなくて。
「…何て言った?」
「だから、俺のこと見に来てよ。俺らクラスも一瞬じゃん?教室でもグラウンドでも見放題」
おっ得~なんてまたピースするアカイシ君に舌を出して歩き出す。
アカイシ君のタオルで火照った顔を扇ぐ。
まだ残暑厳しいな~。明日もグラウンドは暑いかな…。
10/12/2024, 11:39:37 AM