水無月

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君とみた虹

雨の中傘もささずに歩いていた。

何も考えずに歩いていたけれど、ふと空を見上げたら雨は止んでいた。

空を見上げたあと、視線を前の道に戻したら君が立っていた。

希望に満ちた目をしながら古いカメラで何かを撮っていた。 

カメラの方向を見てみると、虹が見えた。

わたしは思わず呟いた。

「もったいないね。カメラ越しでみる虹よりも今この瞬間でしか味わえないものがあるのに」と。

虹から視線を外し、再び私は前を向いて歩き始めた。

そのあと男の子がそのまま古いカメラで虹を撮り続けていたのかは誰も知らない。

2/22/2025, 5:07:51 PM