「親に感謝するのは当たり前です」
「ここまで育ててもらった感謝を伝える日ですよ」
「なんで素直になれないんですか?」
こちらが大人げないほど
親に反抗し続けていると
信じて疑わない彼女
その真っ直ぐな目に
私はたじろいで口を閉ざした
きっとこの子は親の愛情を一身に受けて
曲がらないよう丁寧に育てられてきたんだな
だから親との確執がある私が
ただ素直になれない大人にしか見えないのか
「それはとても良い親御さんね」
無理矢理口角を上げて目を細めた私に
彼女は笑顔で頷いた
この子と私は別世界を生きている
そう認識して傷つかないために心を遠ざけた
『愛情』
11/27/2024, 11:53:56 AM