箱庭メリィ

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「この女の子だれー?」
4歳の息子が指をさして尋ねる。
「これはママだよ」
「え、この女の子ママなの?ちっちゃーい」
わたしのひざに座って次々と「これは誰だ」と指をさす。
その度に「ママのママ、ばあばだよ」や「じいじだよ」と答えていった。
パラパラとめくる厚いページ。写真の貼られたアルバムをめくっていく。
それは私の過去。そしてこれから。
「これママ?」
何冊目かのアルバムを見ていると、息子が尋ねた。
「よくわかったねぇ、そうだよ」
「じゃ、これパパ?」
私の隣りに立っている男性を指して私の顔を見上げる息子。
「ふふ、そうだねぇ、パパだよ」
今ではこの写真の見る影もないくらいの姿になってしまった父親を見て笑う。
「パパかー。今はふっくらさんだねぇ」

「ふふ、これだーれだ?」
今度は私が指をさして尋ねてみる。
それは病院での写真。
「だれー?この赤ちゃん」
「もっくんだよ」
「もっくん?これもっくんなの?」
不思議そうな顔で聞いてくる息子に、赤ん坊の頃の息子だと教えてあげた。
目をくりくりして写真を見つめる息子。
「もっくんが生まれたばかりの写真だよ」
「これもっくんかぁ」
そしてもうすぐ、同じような写真が増えることだろう。
「もうすぐお兄さんになるからね。またいっぱい写真撮ろうね」


/9/3『ページをめくる』

9/3/2025, 9:27:09 AM