SHADOW (めちゃくちゃ不定期)

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優しくしないで

 やっぱり諦められないよ。
本当はお兄ちゃんより、誰よりも好きだった。
だけど、あの人が選んだのはお兄ちゃんで、私のことなんて兄の妹でしか見ていなかった。
いつも優しく接してくれるから、好きなのかなって勘違いしてしまった。
だから、優しくしないでよ。兄と接したいからって、優しく接しっても嬉しくない。
分かっていたはずなのに、僕から溢れ出す涙は止まらない。
いや、本当はあの人に止めて欲しかったのかも。
家の中で泣いてしまった。止める人なんていない。
お兄ちゃん以外の家族なんてもういない。互いに好きな人と蒸発してしまったから。
こんな広い家で一人で泣くって、なんて無様んだろうか。本当に情けない。お兄ちゃんがいないと何も出来ない。分かっていたはずなのに、認めたくない。
自分の大事な人がいなくなっていく感覚が…。
だんだんと意識が遠のいていく…。
最後に見えたのは、黒色の服が似合う人しか見えなかった。
嗚呼結局はお兄ちゃんでもなく、あの人でも無いんだな……。

 
 目が覚めたらベットの上にいた。
起き上がって周りを見渡しても誰もいない。
混乱している頭を整理していると扉が開いた。
入って来たのは、お兄ちゃん達のリーダー的存在の人だった。(え?なんでいるの…。)と困惑していると、彼は話し始めた。

お兄ちゃんは結局あの人と付き合ったらしい。
だけど、お兄ちゃんは僕が好きだったのを知っていた。だから最初は付き合うことに躊躇していた。でも好きって気持ちには叶わなかった。そして付き合った。だけどやっぱり、僕のことが脳裏に過ぎった。
帰って報告したい気持ちもあるけれど、僕に嫌われたく無いから、彼に代わりに行ってもらった。
彼が家に着いたら泣き声が聞こえて、何か言っているのが聞こえたと思ったら、倒れる音が聞こえて急いで駆け寄った。

最後まで聴き終わるとなんとなく自分が惨めにしか思えなかった。僕が言っていたことも聞かれたし、好きだったってことも知られてしまった。
僕が俯いていると、彼は僕の顎を掴み自身と目を合わさせて言った。
『そんなに彼奴の事が忘れられないんだな?なら俺と付き合うか?彼奴以上に君を愛すぞ。彼奴より俺の方がいいと言えるぐらい、ドロドロに愛してやるぞ。』
そんなことを言われた僕は恥ずかしくって、顔を背けた。彼は笑っていたけれど本気らしい。
なんとなく僕は彼と付き合えば幸せになれると思った。そして彼に言う。
「最後まで愛してくれる?優しくしないでね?そういう哀れみの言葉はいらないから。取り消すなら今のうちだよ?」そう僕が言うと彼は口角をあげて言った。
『俺は欲しいものは絶対に手に入れたい男だ。そう簡単に手放すわけ無いだろw』
そう言った彼の腕の中に収まり彼に言った。
「じゃぁ。一生かけて僕の事アイシテ?」
『勿論だ。絶対に離すわけない。』
そう言う彼らは幸せそうだった。

5/2/2024, 11:21:38 AM