その時思い出したのは、初詣で引いたおみくじの結果だった。
でかでかと書かれた「大凶」の二文字と、それに連なる運勢たち。就職、潰える。健康、人間とは呼べなくなる。恋愛、難しい故に幸福の定義を探せ。エトセトラエトセトラ。不幸と不気味の縮図かと言わんばかりの言葉の羅列だった。
その中で燦然と輝く「失せ物、向こうから来る」だけがどうにも異質で、妙に引っかかったのを覚えている。失せ“物”なのに、来るとは如何に。まるで物に手足でも生えて、自由意志を持っているみたいな言い草だ。
ああ、でも。やっぱり当たってたかもしれない。
踏切の向こう側、ふわりふわりと微笑んでいるのは、捨てたはずの元カレで、その時に無くした恋心ってやつと一緒に彼は此方に来ようとしている。
ついでに言うなら、元カレの正体は蛇の神だ。
神様を捨てた無礼者への神罰か。はたまたこっぴどい振り方をした復讐か。どれが要件かは知らないが、ろくでもない用事であることは火を見るより明らかだ。平穏とは程遠い新年の幕開けとは対照的で、心底辟易する。
カンカンと鳴る踏切だけが境界を分かつ。電車が通過するまでに、なんとか最善策を絞り出すしかなかった。
お題/新年
1/1/2026, 3:23:01 PM