死にたい少年と、その相棒

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  /雫

ぽた、ぽた、と雫が垂れる。赤い雫だ。
それが、僕の左手首からとめどなく流れて、一粒ずつ床へ垂れる。
「……痛いなぁ」
右手の包丁を床に落として呟いた。
こんなにも痛いのに、死ねる気配はない。傷口が浅かったのかと思うが、赤に染まった奥には白い神経が見える。これ以上切れば失敗した時に左手を捨てることになる。そうなると更に自殺の成功率が下がる。
「はぁぁあ……また失敗、かな」
大きくため息を吐き出しながら床に寝転んだ。
鼓動に合わせて溢れる赤い血を眺めて、またため息が漏れた。

「……お前、またやってんのか。懲りねぇな」
少しして、彼が帰ってきた。
「懲りてないわけじゃないよ。前回の反省を活かしてるはずなのに、何故か失敗するだけ。ねぇ痛い。どうにかしてよこれ」
笑うと彼は引きつった顔をした。引いているなと思うとそれもおかしかった。
「ねぇ、手当して」
血まみれの左手を差し出すと、彼がそっと手を取ってくれた。

4/21/2023, 11:59:52 AM