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あの屋上から見た夕日を忘れる事ができない

その日、模試の結果で第一志望が厳しい事を知った。真っ直ぐ家に帰ろうとも思わず、街をぶらぶらしていた。普段なら見過ごすような路地裏に、1匹の猫を見かけた。もの珍しく追いかけてみると、今ではほとんどのテナントが撤退し、解体を待つだけのビルに辿り着いた。
本当は良くないのだけど、扉を触ると鍵が壊れていて中に入る事ができた。階段が目に入ると、ただ上を目指して私は階段を上がっていた。屋上への扉も開いていた。何もない虚な世界から、急に視界が色づいたー

落ち込んで空虚でいた私に世界はこんなに色があるのだと語っているようだ。
気づけば、私は帰宅していた。一度の結果で諦めるのではなく、足掻けと言われているようで…

ー結果、第一志望には入れなかったけど、今はそれで良いと思える。私は自分の選択を後悔してないのだから。

お題「遠くの空へ」

4/12/2023, 11:15:29 PM