―最悪―
私は今日の出来事を書いた日記を見て
溜息をついた。我ながら、今日は最悪な日だった
«朝、目覚まし時計の音を止めようとして、
寝ぼけたまま手探りで手に当たったものを
パシっと叩いた。すると目覚まし時計だと
思っていたのはお眠中の飼い猫の 、ミルだった。
ミルはせっかく気持ちよく寝ていたところを
文字通り叩き起され、不機嫌になり、変な鳴き声を
出しながら私を引っ掻きまくってきた。
お弁当に入れる薄焼き卵を作ろうとしたら、
割った卵の中身をゴミ箱に入れ、
ボウルに卵の殻を投げ入れた。ボウルに菜箸を
突っ込んでからやっと異変に気づいた。
これはまぁ、良くある話だと思う。
仕事に行くときも、家を出て、スマホを家に
置き忘れて取りに帰り、鍵をかけ忘れて、
それに気づいてから戻り、鍵をかけて、車に
乗ろうかとしたときに車の鍵を忘れたのに
気づき、また家に戻った。
お昼は、お弁当を食べようとしたとき、
オムライスを作ってきたのにお箸しか
入れてなかったことに気づき、コンビニで
ゼリーを買って紙スプーンをもらい、
紙スプーンでオムライスを食べた。
仕事の帰りは、間違えて、自分の車と同じ車種で
同じ色の違う人の車のドアを開けようとしたし、
リップクリーム買わなきゃと考えながら目薬を
注そうとしたら、リップクリームを塗る勢いで
唇に目薬を塗ってしまった。急いでティッシュで
拭き取ったが、唇を舌でなぞってみると、少し
しょっぱかった。極めつけには、夕飯のとき、
カレーを装おうために、カレー皿を出した
つもりがお茶碗を出していて、しかも何を
思ったのか、その出したお茶碗に麦茶を
注いでいた。
まぁそんなこんなでようやく横になれた。
今日は本当におかしい。呪いか何かの類かと
思えるくらいにはおかしい。まぁ、こんなに
散漫な注意力で事故を起こしたり、仕事で
ミスを犯したりしなかったことが素晴らしい。
私の脳にはほとほと呆れるけれど、これだけは
褒めてあげてもいいか。»
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半分は筆者の経験談に基づくノンフィクション、
あと半分は筆者が妄想したフィクションです。
6/6/2023, 10:14:15 PM