ずっとあなたに向いていたのです。
お別れしてからもずっとずっと、
ほんとうにずっと、あなたに向いていたのです。
でもあなたはそうではなかったのです。
あなたはわたしと別れるまえからずっと
いろいろなひとに向いていたのです。
わたしは迷子になってしまったのです。
わたしが前を向いているのか、
それとも後ろを向いているのか、
それすらわからない場所で、
わたしは迷子になってしまったのです。
それでもわたしは、わたしの道を見つけたのです。
あなたによらずとも、わたしはわたしなのです。
正しいのか間違ってるのかなんて、
あなたのお陰でまったくもってわからなくなってしまったけれど、
わからないならば進んでみてしまえばよいのです。
わたしはもうあなたのことを振り返ることはないけれど、
きっとわたしはあなたに向いていたころのわたしを、
うらめしくもかわいいと思ってしまうのでしょう。
あなたのこころがいま誰に向いているのかなんて存じ上げませんが、
まごころを大切にできないあなたが、
迷子にならずに進むことができるように、
そう願うなんてことをわたしはいたしません。
あなたはこれまでもこれからもずっと、
ほんとうのまごころなどというあたたかさからは、
ずっとずっと、とおいところにいればいいと思うのです。
ずっとあなたに向いていたのです。
ほんとうにずっとあなたに向いていたのです。
でもいまはあなたではない人に、
わたしのまごころは向いているのです。
わたしはあなたによらずとも、
進むこともしあわせになることもできるのです。
この進むさきが正しいかなんてわからないけれど、
これからもあなたに向いていることが間違っているということは、
それだけは正しいとわかるのです。
さようなら、
ありがとう、
どうかこれからもあなたは、まごころに気づけないままのあなたでいてください。
8/7/2025, 3:34:58 PM