魅夜

Open App

夢から醒めてしまう前に…
「…ここは何処?」
分からない。分からないが、何となく察しが着いた
「嗚呼、此処は夢の中か」
確かでは無いが、そう思う事にした
「ふむ、夢の中なのは良いが、、夢から醒めるまでココで何をしようか」
私は何かするでも無く一先ず歩くことにした



暗い、暗い闇の中を…一人で一歩また、一歩と進んで行く
「この暗闇を抜けた先には何があるんだろうか。全く持って想像がつかないな」
不安が無いと言えば嘘になる
けれど、その不安に負けない位の好奇心が抑えられない
「好奇心は猫をも殺す、か」
私はその言葉をポツリと呟いて肝に銘じ、また一歩、また一歩と、進んだ

やがて、突き当りに着いた
「おや、此処が終着点か?…ここからは進めそうに無いな」
「…だ」
不気味だ、何か聞こえる私の耳が可笑しいのか?
そう思いながら何をすることも出来ない
「…だ」
「…」
後ろを振り向いても誰も居ない
左右を見ても上を見ても
そこにあるのはただただ何処までも続いてる暗闇の地平線だ
「気持ちが悪い」
「…だ……えは、……りだ」
「何だ、何と言っているんだ、」
問い掛けてみるが案の定その問いに対する返答がある訳が無く
私はその場に呆然と立ち尽くした



暫くすると、不思議な感覚に陥る
「、何だ、…これ」
知っている様な知らない様な…
嗚呼、
「もう少しで夢から醒めるのか、やっとこの気味の悪い場所からもおさらばだ」
そう、思った矢先…
「…だ」
まただ、まだ聞こえてる
「もう…もう、ウンザリだ!何だ、何なんだ!?はっきり言えよ!!」
私は誰も居るはずのない暗闇に精一杯叫んだ
そうでもしないと、気が動転しそうだからだ
「夢から醒める前に!何と言ったか突き止めてやる!」
「…だお前は……だ」
駄目だ…夢から醒める…
「くそっ!」
もう、駄目だそう思い諦めかけてたその時に…
「…だ お前は独りだ…誰からも愛されずに…朽ちて行く」
「ッ…ひと、り、?」
俺が恐れていたモノ、それは…『孤独』
「嗚呼、そうか此処はこの夢は、私の恐れているモノなのか」
そう気づいた、気づいたんだ
「気づいたとて何になる」
「さてな」
そう、気づいた時にはもう
『手遅れだ』

3/20/2023, 3:57:06 PM