無人

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我が海へ追悼を。この場所で幾多の思い出ができただろう。思いが生まれたことだろう。だが、私はもうここには来られない。ここにはいられない。
ここが親ならばどれほど良かったのだろうか。この雄大な場所が私を産んだという数億年前に思いを馳せる。この場所が私の全てを決めてくれる保護者のままだったらよかった。数億年の月日は海と私との縁を遠のかせ、ほとんどつながりのない他人にしてしまった。だから離れなければいけない。この美しく恐ろしい場所から。離れなければいけないこの身が心の底から憎い。生きるためにとはいえこの場所から離れたくはない。私の子供時代のほぼ全てとともにあった海に。あなたのいない場所へ私は赴く。次に会う時はきっと、物言わぬ骨になっているだろうが、その時はその深く荒々しさを湛えた胸を骨壷として眠らせてくれよ。

8/24/2021, 8:30:35 AM